金銀花 No.31〜No.35
金銀花 No.31:リーキーガット症候群
湿度が高く蒸し暑い「日本の夏」は例年通りですが、今年も局所的な大雨が降り大きな被害が出ています。分葱や葉物の産地が大きな被害に遭ったために、野菜の値段も高騰しているようです。自然の脅威は人間の力が及ぶところではないのですが、災害の少ない自然環境に戻れたらと思います。わが家のツバメさんたちも次々に巣立っています。いま最後の子供たちが3羽いますが、今年は全部で14羽の雛が飛び立ちました。来年も来てくれるよう道中の安全を祈っています。
前回に続いて今回も腸内細菌についてお伝えしましょう。リーキーガット症候群というのは最近わかった腸の病気です。腸内細菌が充分に機能しないと粘膜が正常に働かなくなり、腸粘膜に小さな穴が開いてしまいます。そうすると消化されていないタンパク質やでんぷんなどの大きな分子が「腸もれ」して血管に取り込まれることで食物アレルギーの原因になるのです。
腸もれを防ぎ腸の免疫機能が十分に働くようにするのが腸内細菌のはたらきです。腸内細菌はそれぞれの人によって全く違うのですが、基本になる「常在菌」の種類はおおよそ3才までに決まるといわれています。
最近はサプリメントを常用されている方も多いですが、ビタミンB₁、B₂、Kは腸内で合成されます。酵素やホルモンも腸で合成されていますし、不足するとうつ病や不眠症の原因になるセロトニンも腸で合成されることがわかっています。安倍総理が潰瘍性大腸炎を患っていらっしゃるのは有名な話ですが、答弁中にキレやすいのはセロトニン不足が原因かもしれません(笑)
また肺は進化の過程で腸の一部が変化したものですから、腸の環境を整えるのはとても意義のあることです。0歳児の腸は未発達ですから全員がリーキーガットの状態にあるといえます。最近、卵や乳製品などを少量ずつなるべく早い時期から与えることが良いことという考え方もありますが、危険を伴ってまで早期のタンパク質摂取は控えたほうが無難と思います。
毎日ヨーグルトを食べている人は多いと思いますが、ヨーグルト菌を毎日入れてもあまり意味がありません。腸内細菌を増やすには、自分の腸内細菌にごはんを食べさせてあげるのが重要なのです。腸内細菌のごはんは水溶性食物繊維、オリゴ糖、冷ごはんに多いレジスタントスターチなどです。食事では野菜、オリゴ糖を多く含む豆類、米飯という基本的な日本食が理想です。漢方薬では小豆や麦芽、紫蘇、春菊などで作られている晶三仙、山芋やはと麦、蓮根などを含む健脾散で丈夫な腸になって良いうんちを作りましょう。
金銀花 No.32:老化予防にAGEs(Advannced Glycation Endproducts)ケアを
とても秋が早いと思っていたところ真夏のような気温になったり一気に深秋のようになったりと気温差がとても大きくて体調管理に苦労します。8月、9月は6人の赤ちゃんが会いに来てくださいました。最近は高令の方のご相談が増えてまいりました。30台前半のかたは概ね半年以内に妊娠されるのですが、35才以上になるとだんだん妊娠率が下がります。早く子供を産めば良いというだけの問題ではなく、若い世代が安心して家族を増やすことができるよう、新内閣の政治家のみなさんに頑張っていただきたいです。
ヒトの老化現象のひとつである肌のしわやたるみ、骨や血管の脆弱はAGEsという最終糖化産物と呼ばれる物質が影響していることがわかってきました。簡単にいうと、余分な糖分がタンパク質とくっついたものです。血糖値が高いひとや炭水化物を過剰に摂っている人はとくに注意が必要です。
AGEsが高いと肌の老化や脳の老化に伴う認知症をはじめ、脳梗塞や心筋梗塞などの脳血管障害、白内障、骨粗鬆症など、身体のあちこちで悪影響を及ぼすと言われています。AGEsを含む食べ物は私たちの周りに数多く存在していて、動物性脂肪食品を焼いたり揚げたような、唐揚げ、フライドポテト、ホットケーキなどに多く含まれています。
わかりやすい例として、ホットケーキを挙げてみましょう。小麦粉(糖)と卵や牛乳(タンパク質)をミックスして焼いたとき、ホットケーキ表面のこんがりキツネ色になっている部分こそが糖化した部分。ここにAGEsが発生しているのです。では、どのようにしたら予防できるでしょうか。
<清涼飲料水やお菓子類の過剰摂取を避ける>
「果糖ブドウ糖液糖」「果糖液糖」「異性化糖」の表示成分がある場合は注意が必要です。どうしても甘いものが食べたい場合は、食後のデザートとして軽く食べることをオススメします。
<食事を食べる順番を工夫する>
サラダやきのこ、海藻類などの食物繊維を含んだ食品から食べて、最後にご飯類などの炭水化物を摂取することで糖質の吸収を抑制する効果が期待できます。
<食事はよく噛んで腹八分目を心がける>
早食い、食べ過ぎは急激に血糖値が上昇しAGEsが作られやすい状態となりますから、食事はゆっくりとよく噛んで食べ、腹八分目を心がけるようにしましょう。
朝夕は肌寒さを感じる日が多くなりました。風が心地いい季節ですが、この時期は空気の乾燥から皮膚のトラブルが起こりやすくなります。秋の強い乾燥から皮膚を守るためには、保湿クリームなどで表面を整えるだけでなく、体内の潤いを十分に保つことが大切です。
<八仙丸>
潤いや栄養不足を招く原因に、呼吸器の潤いが不足すると咽や鼻の乾燥、空咳などさまざまな症状が現れます。皮膚にも乾燥が起き、カサカサ肌やかゆみ、赤みといったトラブルが現れやすくなります。これからの時期に身体の中から潤いを増やす八仙丸がおススメです。
金銀花 No.33:腎は生命の源。日頃の養生が老化予防に。
冷え込みも厳しくなり富士山の雪景色がとてもきれいです。一年がとても速いのであっという間に年取っちゃいます。早く大人になりたかった時代があったことが懐かしいです。
今年もインフルエンザの季節がきましたが、ワクチンを接種したから大丈夫。ではなく充分な睡眠と温かい食事で体力を付けてウイルスに負けないからだを作りましょう。やはり鍋物や煮込み料理が胃腸にも冷えにも良いですね。健康で楽しい年末年始をお迎えください。
中医学では「五行学説」という考えがあり、宇宙に存在するすべてのものは「木・火・土・金・水」のいずれかに属し、人体を分類したものが五臓「肝・心・脾・肺・腎」です。五臓とは単に臓器を指すだけでなく、様々な機能(物質代謝や精神活動)も含み、五臓それぞれが互いに影響しあってバランスよく働いている状態が健康と考えています。今回は「腎」の5つのはたらきについてご紹介します。
<1.生命エネルギーの源「精」を貯蔵する>
「精」は、生命活動を維持するための基本物質。親から受け継ぐ「先天の精」と飲食物から得る「後天の精」があり、どちらも腎に蓄えられて成長や発育、生殖の基礎となります。腎がしっかりして精が十分にある人は、若々しく身体も元気。老化による不快な症状も現れにくく、更年期や老後も穏やかに過ごすことができます。
<2.水分を管理して尿を排泄する>
腎は、脾や肺と協力し合って体内の水分代謝をコントロールし、尿を生成・排泄する役割を担っています。この機能が衰えると、頻尿や尿漏れ、残尿感といった排尿のトラブルが起こりやすくなります。
<3.酸素を体内に深く吸い込む(納気)>
納気とは、吸気を深く吸い込んで体内に取り入れること。呼吸は肺が行っていますが、腎はその“吸う機能”をサポートしています。喘息などは吸えないことが障害になります。腎を強化することで症状も緩和されます。
<4.骨・脳・髪を育む>
腎は骨や歯の生育、脳の健康、髪の成長などにも深い関わりがあります。そのため、この機能が衰えると、骨粗鬆症や腰痛、健忘症、めまい、脱毛、白髪といった症状が現れるようになります。
<5.耳・尿道や生殖器官・肛門の機能維持>
腎は「耳と二陰に穴を開く」といい、耳や尿道、生殖器官、肛門の機能と深い関わりがあります。
この機能が衰えると、耳鳴りや聴力の低下、排尿、排便のトラブルなどが起こりやすくなります。
腎精は加齢によって自然に減るので自分の年齢や身体の状態に合わせて積極的に養生することが大切で
す。また、特に冬は、五行学説で考えると「腎」にあたる時期。腎は寒さに弱いため、身体の冷えや不摂
生な生活で機能が衰えやすくなります。
積極的に養生を心がけ、からだに合った「補腎薬」を使いながら、冬に負けないからだを作りましょう。
朝夕は肌寒さを感じる日が多くなりました。風が心地いい季節ですが、この時期は空気の乾燥から皮膚のトラブルが起こりやすくなります。秋の強い乾燥から皮膚を守るためには、保湿クリームなどで表面を整えるだけでなく、体内の潤いを十分に保つことが大切です。
<漢方の消化薬(晶三仙)>
山査子(脂っこい物の消化)
麦 芽(炭水化物などデンプンの消化)
神 麹(植物性発酵物、お酒などの消化)
<腸内環境(腸内細菌バランス)が乱れていませんか?>
・便秘・下痢を繰り返している方
・食後のお腹の張りが気になる方
・皮膚のトラブルがある方
食べ過ぎ・飲み過ぎは夜の睡眠の妨げになります。寝てる間の(体づくりのリズムを)晶三仙で整えましょう。
金銀花 No.34:3月3日 耳の日 耳鳴りについて
日本列島が強い寒気団に覆われて例年にない厳しい天候です。急に中国哈爾浜への学会出席が決まり行ってきました。哈爾浜と言えば五つ星ホテルの清掃問題が報道され、私も神経質になりましたが健康面ではトラブルも出ずよかったです。
ロシアとの国境に近いのでこの時期は極寒ですが、世界中医学連合会、理事長の呉教授のお膝元ということで開催が決まったようです。今まで研修などでお世話になった各地域の教授の方々にもお会いして旧交を深めることもできました。テーブルにはインフルエンザ予防に効果的な板藍茶も用意され、さすが本場と感心しました。学会終了後に氷祭りも見学しましたが、氷点下30度にもなる哈爾浜ならではの透明な氷がライトアップされてとても幻想的でした。
今回は生殖部会でしたが不妊についてだけでなく周産期や産後ウツなどの講演もあり、妊娠出産に伴う女性の健康についてとても勉強になりました。4年任期の理事にも推挙され、今後も交流とともに研鑽を積みたいと思います。
3月3日は世界保健機関(WHO)が定める「国際耳の日」です。聴覚障害とは、成人では良く聴こえる方の耳で40デシベル以上でも聞き取れないこと、子供では30デシベル以上でも聞き取れないことがあてはまります。聴覚障害とともに耳鳴りのかたも増えています。聴力は正常でも耳鳴りが大きいために聞き取れないこともあります。最初は気にならないほどのものでもだんだん大きくなることが多く、とくに夜間静かになると非常に気になります。
耳鳴りを起こす原因はじつに様々です。風邪をひいたり、過労や睡眠不足など原因がはっきりしている場合は原因を解決することで回復します。耳鳴りとともに耳が塞がったような感じがあり、おなかが張って味覚が鈍くなり便通も悪い。というようなときは胃腸の働きを改善する勝湿顆粒、健脾散がおすすめです。
強い耳鳴りとともにイライラや不安感があり、頭痛や目の充血があるときにはストレス解消とともに精神安定作用のある逍遥丸、柴胡加竜骨牡蛎湯、シベリヤ人参、ミンハオをのんでみましょう。
長期に渡る慢性的な耳鳴りで疲労や過労で悪化したり、体力不足を感じているときは元気を増すような衛益顆粒、補中益気湯、帰脾湯などをおすすめします。
老化に伴う耳鳴りには「抗老防衰」の働きのある漢方薬を体質に合わせておすすめしています。
耳には身体の十二経絡がすべて影響するといわれ、糖尿病や高血圧、不眠症はもとより鼻炎や頭痛などでも耳鳴りの症状が出ます。耳鳴りが気になったら早めに原因を解決するのが一番ですが長期間に及び体質からきていると思われるときには漢方薬をおためしください。
金銀花 No.35:子供の健康は胃腸から
ご来店くださるみなさまから「みきちゃんいないの?辞めたの?」というご心配を多数いただきますのでご報告いたします。
みきちゃんがお勤めしてから約15年が過ぎました。年令的にも娘のようで毎日楽しく仕事をしていました。一昨年、すてきな男性と結婚しまして今月末にお母さんになります。出産を機に退職しましたがみなさまの愛情に感謝申し上げます。
私も赤ちゃんに会うのをとても楽しみにしています。長年ありがとうございました。(ちょっと寂しい・・・)
5月5日は子どもの日です。昔、黄河にある龍門という滝を鯉が登りきったら龍になると言われたことから立身出世の意味で登竜門という言葉が生まれました。登竜門をくぐり抜けるには健康で丈夫な体が必要です。
食事の偏りをなくしバランスが取れた食事を摂ることは周知のことですが、効率よく栄養を摂取するには丈夫なお腹を作ることが大切です。腸は「第2の脳」といわれますが、腸の入り口にできた神経細胞が脳になったという研究者がいるほど腸の働きは多岐に渡るのです。
腸での消化能力を助けるために、中国では昔から炒めたサンザシ、麦芽、神曲を「晶三仙」という消化薬として使ってきました。山査子(サンザシ)は特に肉類、脂っこいものの消化に、麦芽(バクガ)は主にでんぷん質、うどんやパンなどの消化を助け、神曲(シンギク)はごはん、餅などの消化のほか消化不良のときにも使います。
また食物アレルギーは大人より子どものほうが遥かに多く、その原因はアレルゲンのタンパク質を小さく分解(消化)することができないためです。現在の食生活はどうしても動物性たんぱく質が多くなりがちですから、消化にかかる胃腸の負担もずっと大きく、消化に時間がかかると食物が腸内に留まる時間も増え、結果的にアレルゲンができやすく、もたれや下痢、便秘などの症状にもつながります。このような場合にも晶三仙で胃腸の負担を少なくして消化吸収を促進することができます。
最近では腸内フローラと腸内免疫の関係も重要視されるようになり、良好な腸内細菌を多く持つことが小腸免疫細胞の働きもよい方向へ行きますので、丈夫な胃腸は免疫力と抗アレルギー力も増強できるのです。内関、足三里、関元(丹田)、天枢などのツボマッサージも効果的です。