妊娠力を高める
不妊の原因、年齢対策妊など、中医学で妊娠力を高める内容をご紹介いたします
今や十組のカップルにひと組は不妊症で悩んでいるといわれています。また、この傾向は年々増える傾向にあります。治療を始めてすぐに妊娠する人もいますが、長期間かけてもなかなか子宝に恵まれないケースも多く見られます。
世界初の体外受精児が誕生してから早30年を経過し、その世代からも赤ちゃんが誕生するという時代を迎え西洋医学の不妊治療も一般治療となってきました。技術の進歩は新たな問題を提起しながら、しかし着実に結果も出しています。長期の不妊治療は大きなストレスと同時に女性のからだに大きな負担にもなります。結婚出産年齢の高齢化、仕事社会での精神的負担、妊娠しないことへの不安などで体調を崩す人も少なくありません。
また、効率や利益優先の社会環境のなかで妊娠以前の問題として体調の不調や月経周期の乱れなどで悩む女性も増えてきました。西洋医学のような積極的治療だけでなく、からだと心のバランスや、良好な体調を維持することを重視する中医学は妊娠を望む方には大きな支えになるでしょう。
ほとんどのかたは結婚すれば自然に妊娠、出産すると考えていらっしゃることでしょう。そのうちにと思っている間に年月が過ぎ「私は 不妊症かしら?」と心配になってもほとんどのかたはまず婦人科や不妊外来を受診されます。始めから身体のバランスを考えて漢方を試してみようというかたは残念ながらほとんどいません。
十代から月経痛や月経不順で病院でのホルモン治療、鎮痛剤の服用などが嫌で相談に見える方は漢方薬が身近ですので 何かあると自然にご相談に見えますが、そういった方が結婚されても漢方薬を継続してくださってトラブルなく妊娠したと報告を受けることも多いのです。長期にわたる治療の中で体調不良になり卵巣や子宮にトラブルを抱えたり、月経周期が乱れたり、またストレスによる精神不安で相談に見えるお客様が、漢方薬をのむことにより身体のバランスを調整し体力を回復して元気になっていくのはとてもうれしいことです。
私は、日常の研修を継続しながら年1回の中国研修に参加することにより、具体的で信頼度の高い漢方薬の応用を実践できるようにと考えています。精神のバランスと基本となる健康な身体つくりを中医学でお手伝いすることで妊娠を希望される方のお力になりたいと思います。当渡辺薬局では、不妊症への漢方薬応用によって多くの方から懐妊の喜びをいただいております。
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現代ほど子供を産む環境が悪い時代はありません。子供を産まない女性が悪いような発言をして大きな反発を受けた政治家もいますが妊娠している人でさえ安心して病院や産院を受診できない現実を1日でも早く解決しなければなりません。
また 仕事を持つ女性が増えているにもかかわらず、社会のサポート体制が整備されないために子供を産み育てながら仕事をすることが難しい現状があります。たとえトラブルなく出産しても安心して預ける保育園も不足状態ですから、ますます女性が子供を育てるために苦労をしなければなりません。
不妊原因の半分は男性にあると報告されています。ご相談に来られるかたにお聞きしても ご主人の帰りが毎晩9時以降とか休日も仕事が入ったり、夜勤が多いなど子作り以前の問題が大きいと感じます。疲れ切って帰宅されるご主人に遠慮することもありますし、女性の側からタイミングを言い出さなければならないのも大変なストレスです。
このように社会全体が赤ちゃんの出生を妨げるような方向に進むのをどこかで変えていかなければならないとだれもが気づいているのですがなかなかよい方法がありません。男女とも環境に負けない健康なからだをつくり、体調を整え自然妊娠を目指しましょう。
2000年ほど昔に書かれた「皇帝内経」という書物に、女性の身体は7の倍数で変化するという考え方が紹介されています。14才頃に初潮を迎え、28才で成熟期になり35才から性機能や生殖能力が低下し始め、49才に閉経するとされています。現代の月経開始年齢は12才。閉経年齢が51才と若干の開きがありますが大きく見ると大昔からそれ程の開きがあるとはいえません。
不妊治療においても35才がピークとされているように、身体の生理機能からいえば35才までに妊娠することが理想ですが、キャリアのある女性が増えるに従い妊娠、出産年齢も高くなっています。
この4つの期間の繰り返しです。 妊娠はこのどの期間に異常があっても成立しないのです。まず周期調節中医学では、男女とも次世代を生み出す力を「腎精」といい、「血」の影響を受けて生命エネルギーとなります。「腎精不足」は卵の成長や成熟を妨げ妊娠力の低下や早発閉経の原因になります。女性が排卵する卵はすでに胎児期に用意されますから年齢に平行して卵の年齢も上がってしまいます。腎精を補うことにより卵の若返りをしましょう。
腎精を補う漢方は参茸補血丸、参馬補腎丸、杞菊地黄丸などがあります。血液を増やすことは身体が若返ることにもなります。婦宝当帰膠をベースにすることで基礎体力が高まり、卵子の成長やホルモンの分泌、子宮内膜の状態が改善され妊娠の可能性が高まります。
二人目の子供が欲しいと思ってもなかなかできず悩んでいるかたもたくさんいます。すでに一人産んでいることから、病院でも「大丈夫でしょう」といわれることが多いようです。なかなか妊娠できない理由のひとつに女性の頚管粘液に精子に対する抗体ができることがあります。その結果、精子が子宮内に入れず妊娠しないのです。この場合、ホルモンや免疫の調節作用の中枢である腎を補う杞菊地黄丸や瀉火補腎丸などの補腎薬と冠元顆粒、田七人参のような活血薬を併用します。
また 第1子の妊娠、出産、産後に問題がある場合があります。妊娠中の母胎は大量の酸素と栄養を子宮に運び胎児を育てます。出産は危険を伴うことがあるほど体力を消耗しますし、出血や子宮回復に続いて、授乳、沐浴、おむつ交換など育児と睡眠さえ充分にとれない状況が続きます。とくに冷たい水を使う家事は産後のからだによくありません。第1子の出産による体力の消耗が、第2子妊娠をしにくい原因になりますから、産後は母体が再び妊娠しやすいからだになるよう充分に養生しましょう。体力に余裕がないと育児の疲れも出やすいものですので、産後一ヶ月は家事など助けてくれる人がいたらお願いして出来る限り身体を休めてください。母乳は血液から造られますので、補血作用のある婦宝当帰膠はむしろ産後に積極的にのんで欲しいものです。
妊娠出産とその後の育児はからだに大きな負担になります。充分な休養もとれないうちに、家事や仕事に復帰する人も多いでしょう。自分では疲労感や脱力感、不安感を感じながらも、からだをいたわる漢方薬や栄養剤を摂る人は残念ながらほとんどいません。産後は大事にされて家事も一切しないでいられればいいのですが、核家族化が進み近くに面倒を見てくれる人がいないとか 第2、第3子の場合はほとんどの方が1週間くらいで炊事、洗濯などを始めています。
出産や育児はからだのエネルギー源である元気や血液を不足させますから、まずは一番に身体の回復を考えてください。母乳は血液から造られます。赤ちゃんは成長するためにお母さんのおっぱいをグイグイ飲みます。お母さんのおっぱいが貧血でしたら、赤ちゃんも酸素不足になり、ぐずったり眠りが浅くなったりします。養生は妊娠前よりむしろ産後に気をつけてほしいくらいです。体力が落ちると、自信がなくなって産後うつや育児ノイローゼにもなりやすいですから、産後はからだを冷やさないようにし、お乳が充分にでるよう気血を補い、血行を良くしましょう。
待ちに待った妊娠が流産になると心も身体も深く傷ついてしまいます。繋留流産や切迫流産をしてしまうのはとても残念です。流産するいち番の原因は、受精卵の染色体異常といわれています。染色体異常というと とても大変で重大なことと思われがちですが、実はとても頻度の高いことなのです。流産する確率は年齢とともに上昇し、40才になると約半数が流産するという統計がでているくらいです。卵の質をよくすることが、流産を予防することになりますし、大切な受精卵が順調に成長するためには、からだのエネルギー源である「気」の力を強化することが必要です。
受精卵や胎児に充分な栄養と酸素を届けるのは血のはたらきですから、日頃から元気を補い血液の充実を考えなければなりません。中医学には「安胎」「保胎」という考えがあります。補気作用のある黄著や補腎薬、また補血作用のある婦宝当帰膠がいいでしょう。また 抗リン脂質抗体があって 血栓が出来やすい為に血流が止まり、流産してしまうような場合は、お血を改善する水蛭を含むものや、少量の丹参、田七人参もおすすめします。
周期調節法をする場合、必ず基礎体温表を付けます。排卵期がはっきりしない、低温期から高温期への移行に時間がかかる。安定した高温期がなく上がってもすぐ下がってしまう。体温の上下変動が大きかったり、高温期が短く10日以下というように、受精卵を育てる環境が整っていない状態です。黄体機能不全の方は排卵後、黄体形成が不十分で、黄体ホルモンの分泌が不足し、または黄体の消退が早いので着床障害や早期流産の原因になりやすいのです。
また、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの不足があると子宮内膜も充分に厚くならず、受精卵がなかなか着床できない状況になります。一時的に着床しても繋留流産などになりやすくなります。高温期は「陽」の期間ですから、からだをあたため腎陽を増やすよう 海馬や鹿茸などの動物生薬を中心に使います。内膜を充分に厚くするためには血液の供給も大事ですから、婦宝当帰膠を併用するとよいと思います。