不眠
人生の約1/3を費やす睡眠、快適な睡眠をとりたいものです
人生の約1/3は布団の中と言いますが、現代社会は夜間に働く人が増え、生活が便利になるにつれて私たちの睡眠時間もどんどん短くなっています。6時間~7時間の睡眠がベストという報告がありますが、現状では4、5時間の睡眠しか取れないひとや夜間に寝られない仕事の方も多く、睡眠サイクルの障害に悩む方が増えています。
午後10時から午前2時の睡眠ゴールデンタイムは、脳下垂体から成長ホルモンが分泌される大事な時間です。もう大人だからこれ以上成長することもないし、これ以上大きくなっても意味がない。などとお考えかもしれませんが、成長ホルモンには大事な仕事があるのです。
子供の時はその名の通り身体が成長するために働きますが、大人の場合は分泌される成長ホルモンが一日の生活を整理し、修復するために働きます。その日の記憶の整理や傷ついた細胞の修復など、からだのメンテナンスを行う重要な時間ですから、この時間に寝ていないと意味がないのです。
しかし、午後10時という時間はまだまだ昼時間のような感覚で生活し、実際には夕食前という方も多いのが現状です。 早寝早起きという言葉は過去のものになりそうですが、このような不規則な睡眠状況が続くと睡眠障害が起こりやすくなります。
<1>過労や悩みごと
年令とともに健康や病気にたいして不安が大きくなり、小さな症状も気になって眠れない。
<2>過度のストレス
仕事や家族の介護などの長期にわたるストレス過剰状態が続くと、ちょっとしたことでもイライラや不安感がおこり眠れなくなる。
<3>老化
年令とともに体全体が乾燥しますが、血液や体液などの潤いが不足すると脳も次第に萎縮し生活時間のコントロールができなくなり、昼間うとうとと眠くなるが、夜は眠れないなど睡眠が安定しなくなります。
<1>飲食の不摂生
食べ過ぎ飲みすぎのほか、食事の時間が寝る直前の場合は消化が上手くいかず胃もたれや消化不良の原因になります。胃の中に食べ物が停留したまま床に就くような状態が続くと逆流性食道炎などの原因にもなり、胃部不快感のために眠れなくなります。
不眠の症例
若いころは眠れないということなど考えられなかったのに、最近は寝つきが悪く、2~3時間すると目が覚めてしまいます。意味も無いことをいろいろ考えたり少しでも心配事があると余計に眠れなくなり寝汗も出ます。不安感、イライラなど精神的にも余裕が無くなり起床時から疲れを感じます。更年期障害と診断されて睡眠導入剤や精神安定剤も服用していますが、薬をのんでも解決しません。これからこの状態がどこまで続くのか不安が大きくなります。
薬をのんでも満足感のある睡眠がとれず、一日中疲れを感じていらっしゃいます。更年期というと時間が解決するのでがまんしていくしかないとお考えの方が多いのですが、この期間は短いのか長いのか症状も落ち着くのか悪化するのかと考えれば考えるほど心配の種が増えます。
子供から大人に、そして高齢にとからだの変化はだれにでも訪れます。上手に変化を乗り越えることでおだやかな日常を送りましょう。
このかたには「腎精」を補う漢方薬と西太合が常用していたという精神安定作用のある漢方薬をのんでいただきました。2週間後には症状も落ち着き、寝汗も出なくなって睡眠も改善しました。