尿酸値
ほとんどが男性に発症して女性にはあまり見られない、性差が大きい病気です
ある日突然、足の親指付け根の関節が赤くなって腫れ、猛烈な痛みに襲われて痛風が見つかることもありますが、発作が起こらなくても健康診断の生活習慣病検査で尿酸値(uric acid)が高いことで注意されます。ほとんどが男性に発症して女性にはあまり見られない、性差が大きい病気です。女性ホルモンは腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるから、痛風になりにくいのです。閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値は少し上がりますが、全体的に女性には少ない病気です。
しかし、最近は女性でも高たんぱく食や高カロリー食が続くことも多く、発症することが増えてきましたので油断できません。痛風の発症は血清尿酸値が7.0mg/dLを越える状態が数年間以上は続かないと起こりませんので、「尿酸値が高めですから食事に気をつけてください。」と指示を受けてもなかなか実感が湧きません。
静かに少しずつ進行して、ある日眠れないほどの強い痛みと冷や汗で病気の進行に気がつくのです。いずれもタンパク質が原因食品ですから、食事には注意が必要です。タンパク質、ビールが悪いということで肉類、モツやビールは避けている方は多いですが、落とし穴に和食があります。タンパク質=肉というイメージが強いために和食なら大丈夫と考えている人が多いのです。朝食にカツオ出汁、煮干し出汁、あご出汁などで豆腐や麸などのみそ汁と納豆、卵、焼き魚。というメニューは、プリン体オンパレードになってしまいます。意外にも和食はタンパク質の元になるアミノ酸が豊富に含まれているのです。
痛風は一度発症するとなかなか完治の難しい病気ですが高尿酸血症が長期間続いても痛風の症状が出ないこともありますし、急に腎機能が低下して「痛風腎」になることもあります。「痛風腎」になると透析が必要になりますので尿酸値が高い場合は早めに養生、節制をしましょう。
中医学では多すぎる尿酸は食事の副産物「痰濁」と捉えます。血液の中に過剰な尿酸があるので、血流にも影響が出ますから排泄と同時に「活血」します。肥満傾向の方は、消化器のはたらきを助け新陳代謝の改善を進めることで減量しやすいからだ作りをしましょう。
<1>腎のろ過機能が低下している場合や尿酸の結晶が血中に多くなり過ぎて、排泄が追い付かなくなる。
<2>食べ過ぎや飲みすぎで体内で尿酸が過剰に作られる場合。
過剰なタンパク質が尿酸の合成を促進します。肥満傾向の人が多い。サプリメントなどでプロテイン(タンパク質)を過剰摂取していることもありますので注意が必要です。
<3>両方混合の場合。
尿酸値の症例
13年前から痛風です。過去に痛風発作を4~5回起こしました。3年前から血圧も高く内臓脂肪も増えて、動脈硬化も指摘されています。ストレスが大きいと不眠傾向になり、夜間尿は4回。
健康寿命を考え体質改善をしたい。
お付き合いで外食が多いので、どうしても高カロリー、高脂肪食になりやすい。お酒はビールや日本酒は避けて、焼酎やウイスキーを飲むようにしている。最近は足腰も心配なので、朝食後に必ずグルコサミンをのんでいる。
血液どろどろタイプです。脂(コレステロール)も尿酸も過剰にあるので、排泄を促す漢方をのんでいただきます。
朝食後のサプリメントはアミノ酸そのものなので服用を止めます。緑黄色野菜が不足しがちなので、朝食、昼食時には温野菜をたっぷり召し上がっていただきます。「痰濁」を排泄し、血流を改善しながら解毒作用のある処方をのんでいただきました。
服用後6ヶ月の検査では、コレステロールの値が下がり、LDL(悪玉コレステロール)も大きく下がっていました。漢方薬を食前に服用することで、食事にたいする意識も変化しています。ウエスト周りもスッキリしてきましたので、本人もからだが軽くなったと喜ばれています。