金銀花 No.11〜No.15
金銀花 No.11:中国事情
私のライワークともいえる中国研修に行ってきました。今年は湖南省長沙市にある湖南中医薬大学附属病院の高度生殖医療科と婦人科での研修でした。主任教授の尤(ゆう)先生は 65 才の元気な女性です。てきぱきと患者さんを次々に診察していきますが重要なポイン は外しません。 患者さんの目、手のひら、脈、体格、排泄、睡眠、月経、体温表などもきちんと確認し検査結果と合わせて処方を出していきます。
最近の中国女性は月経不順の人が多く、特に多嚢胞性卵巣症候群の患者さんが増えています。中国の人はあまりストレスが無いと思われがちですが、今の環境の中で生活していくのはなかなか大変なことだと感じました。経済や食生活の大きな変化、ジャンクフードや欧米食の流行で肥満の人も増えてきています。 また、その影響は女性のホルモンバランスの崩れとなってあらわれています。
中国では 35 年に渡って一人っ子政策が実施されてきました。地方の田舎は例外がありましたが都会では 2 人目は罰金のほか失職という重い罰則まであったのです。ところが昨年ある程度の人口抑制が出来たということで一人っ子政策が緩和されました。そのため高齢でも出産したいと希望する多くの女性が不妊外来を受診しています。尤先生はそのような患者さんにも丁寧に対応され、成果を出されています。
年令が上がると子宮筋腫や内膜症、腹腔内疾患などの病気も多くなり、ホルモンバランスも悪くなりますが漢方薬とともに生活習慣や食事指導も含め妊娠する環境を作っていくのです。
中国の空気汚染はかなりひどいです。長沙は内陸で北京とも離れていますから大丈夫だろうと思いましたが北京より悪いかもしれません。 空気が悪いうえに先の反日デモを境に日本人の団体客は来なくなり、私たちの訪中団はなんと2年ぶりの団体ということでどこでも珍しがられました。
ホテルのラウンジのコーヒーは 1500 円(>_<)。単に菊の花にお湯を注いだ菊花茶。これが 1300 円(+_+)日本のホテルより高い。体外受精は 1 回 60 万円。足マッサージ(足浴)3000 円。 こんな経済の中でどのようにして国民は生活しているのだろうかと心配しましたが、「中国人はお金持ち」と現地の人から言われると「そうなんだ」と合点してしまいました。
中成薬の原料の生薬も年々価格が上昇しています。漢方薬の原料は残念ながら日本国内で生産できるものばかりではありません。気温や条件で育たない植物もたくさんありますから、漢方薬、中成薬をこよなく愛する私たちのためにも安定価格で質の良い生薬を供給してくれるよう心から祈っています。
金銀花 No.12:インフルエンザ・肺炎球菌・RS ウイルスなど
もう師走がやってきました。この一年、大きな難もなく過ごせたことはとても幸せなことだと感謝しています。みなさまはどんな一年だったでしょうか。良い事もそうでないこともいろいろあると思います 、年末年始は笑顔で過ごせるといいですね。最近、日本中の火山の動きが活発になっているようです。地球は生きていて、地殻はいつも動いていると承知していても地震はないほうがいいに違いないです。被害が最小限で収まるようにと願うばかりです。
毎年、この時期になると呼吸器疾患が増えます。報道も一気に感染症対策に予防接種やうがい、手洗いの励行を呼び掛けます。一昔前にはひとくくりに「風邪」だったものがそれぞれの細菌やウイルスが分類できるようになり、一つ一つに対応しなければならないので予防接種を受けるのも大変です。 今後 微生物の判別が進むともっと多くのウイルスや細菌が見つかると予想されます。インフルエンザウイルスも A型か B 型だけのはずがありません。私は多分 X,Y,Z くらいまであると予想していますがどうでしょうか。
最近、RS ウイルスというのが話題になりますが、このウイルスに関しては打つ手がありません。通常、ウイルスに感染すると抗体という抵抗力ができるのです。あのエボラ出血熱ウイルスでさえ回復した患者さんには抗体ができるのです。その血清を基にしてワクチンの開発も進んでいるのですが、この RS ウイルスは抗体が出来ないのです。ですから何回も感染し、風邪に似た症状が出るのです。
さあ、みなさんどのようにしてこのウイルスと戦いますか?そうです。体力です。ウイルスは体力やいろいろな免疫がある大人より子供に感染しやすいので、子供のほうが発病しやすいのですが、たとえ感染しても、食欲が落ちず、熱も一晩で下がるような健康体が理想です。 睡眠は充分に。早寝早起きが一番です。うがいは少し濃い目の(1%)塩水が最高です。手洗いは石鹸を使い過ぎると乾燥して手荒れの原因になります。傷のある手は逆に細菌の温床になりますから洗い過ぎにはご注意ください。流水で充分に洗い流すくらいでいいでしょう。
コタツでアイスはあまりおすすめできません。おなかは温めるようにしましょう。おやつには焼き芋やお汁粉などがいいですが、今の子供には人気がないかしら。りんごやみかんには水分やミネラルが豊富なので積極的に摂りましょう。入浴は必ずバスタブに浸かるよう心がけてください。一年中シャワーだけというかたがいますが、冬は一日の冷えを解消する一番の方法です。風邪なんかに負けない身体にしましょう。
金銀花 No.13:この不快感、更年期かしら?
新年が明けて、もう 1 ヶ月過ぎようとしています。月日は本当に速く感じますが、今年も一年、みなさまも私も元気で過ごせるようにと願っています。天気も晴れたり曇ったりは当たり前ですが、雪が降るととても心配になります。昨年のような大雪にならないといいですね。 今年もみなさまの健康と幸せのお手伝いを全力でしていきます。みきちゃん共々頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いします。
女性の場合は特徴的な更年期障害の症状として、ホットフラッシュ、寝汗、うつ症状、耳鳴り、めまい、不眠などがありますが、はっきり「これだ」と決められない場合もあります。なんとなく体調が思わしくない。身体の違和感がある。体力が落ちたかもしれない。ドライアイやドライマウスかな。眠れない。眠りが浅い。心配もないのに不安になるなど。
最近は男性更年期障害も認知度が上がりましたので、男なのに?なんて言われることもなくなりました。だれにでも更年期は現れるものだという社会になりましたので、精神的にホッとされた方も多いと思います。しかし、だれにでも起こると思っても症状が出ると不安になり、なんとか早く回復したいと考えるのは当たり前のことです。
人生 50 年の時代と違い、現代の 50 歳はまだまだ青年。 これから 30 年も 40 年も活躍しなければなりません。 せっかくの寿命ですから健康に送り、仕事も趣味も充実しようではありませんか。健康であれば仕事も続けられますし、畑でも田圃でもスポーツでも何でもできます。
「腎精」という言葉が中医学にあります。「人生」と同じくらいの意味を持っています。この腎精が衰えると人間の持つ生命力、免疫力、自然治癒力が低下するのです。女性は 7 の倍数、男性は 8 の倍数というコマーシャルがありましたが、腎の働きの低下は目や、耳、鼻、舌などの感覚器にでてきます。悩の情報収集器官が弱くなると神経の伝達も鈍くなり筋肉の動きも落ちてきます。筋力の低下は運動やトレーニングも効果がありますが、なんといっても手足を動かす、身体を動かすという脳からの伝達を充分に滑らかに行きわたらせることが大事です。脳に刺激を与えつつ、補腎薬と活血薬で老化しにくい身体を造りましょう。
金銀花 No.14:美しい肌を手に入れましょう
二月は日数が少ないのであっという間に月が替わる感じがします。如月(きさらぎ)は「衣更月」「絹更月」などともいいます。まだまだ寒いので更に衣服を重ねるという意味のようです。ほかに梅見月(むめみつき)とも表されますが、梅の咲く時期ですね。日本語は奥が深く、その意味を考えるだけで楽しくなります。花粉も黄砂も増えて参りました。せっかくいい季節になるのにアレルギー症状でお困りの方も多いと思います。どうぞご相談下さい。
今月は健康でハリのあるお肌作りを考えましょう。私がまだ若いころは日本人の肌はきめが細かく世界一だといわれていました。食習慣や生活習慣の変化が赤ちゃんも大人も皮膚の健康を失ってしまったのではないでしょうか。
肌のくすみは「疲れた顔をしているわよ。」といわれる場合が多いですね。たしかに疲れがたまると肌も黒ずんできます。充分な睡眠が必要ですが「気」と「血」を補いましょう。 「婦宝当帰膠」「冠元顆粒」がおすすめです。
シワは老化のサイン。どんなにお手入れをしても、美容整形をしても老化は防ぐことができません。 「補腎益精」という老化防止の解決策がありす。「亀鹿仙」は潤いをたっぷりふくんでいます。
たるみに効果的な方法は?筋肉が弾力を失うとともに四肢の肉も柔らかくなって、お尻が下がって、おなかも出てきます。顔はお手入れで多少は改善できますが、首はもっとも年齢が出てきます。消化器の力を上げることによってたるみの防止効果が期待できます。「健脾散」「晶三仙」をのんでみましょう。胃腸が弱い、下痢や便秘に悩むという人は食習慣も見直しましょう。脂症でお悩みの方。皮脂の分泌が多いので、顔がテカテカする。吹き出物が出やすいです。まず、チョコレートやアイスクリームなど糖分を多く含むもの、スナック菓子やカップラーメンなど塩分と油脂を多く含むものも控えてください。唐辛子など刺激の強いものも避けていただくとよいです。これからお出かけやアウトドアが楽しくなります。健康な肌になりましょう!!
金銀花 No.15:♡血液検査始めました♡
一年を通して季節の変化を一番感ずる今日この頃です。今年の冬は長くて寒かったですね。朝晩はまだ冷え込む日もありますが、日差しもぐっと力強くなってきました。卒業、入学、就職や転勤など新しい環境へ入るかたも多いと思います。希望や期待と同時に不安を感じるかもしれませんが、新生活はきっと楽しいことがいっぱいあるでしょう。この年になるとなかなか新しいことに出会えませんが、気持ちも新たに何かにチャレンジしようと思います。
渡辺薬局では血液の簡易検査を始めました。脂質検査と糖尿病には欠かせないヘモグロビンA1cの検査ができます。
指先から少しの血液を採取しますが検査時間は両方でも15分。便利な世の中になりました。
コレステロールはご存知のとおり血液中の脂質のことですが、閉経後の女性はこの値が高くなります。どうしてそうなるのかちょっと説明いたしましょう。
私たちのからだはたくさんの種類のホルモンを作って必要な時に分泌しています。膵臓からは有名なインシュリン。副腎や甲状腺からもホルモンが出るのです。
卵巣からは女性ホルモン、精巣からは男性ホルモンが出ます。これらのからだに重要な働きをするホルモンの原料がコレステロールなのです。
女性の場合は毎月排卵することで女性ホルモンの働きも活発になりますが、閉経するともう卵は育たなくなります。そうなると原料のコレステロールが余ってしまい、血液中のコレステロールの値が多くなります。
脂質検査も最近は善玉と悪玉の割合などで判断するようになりましたので、コレステロール値が高いけれど善玉が多ければ心配ないのです。善玉コレステロールは動脈硬化の予防に働きますので、ご自身の血液検査ももう一度確認してみてください。