金銀花 No.56〜N0.57
金銀花 No.56:【不妊治療保健】
5月は気温の乱高下が続きました。黄砂も年々量も回数も増えるのでアレルギーのあるひとは変わらずマスクが外せないです。
今年も我が家ではつばめが3組子育てを始めましたが、いたずらカラスがつばめを追いまわし店頭のベンチの背もたれに止まるので、ちょっと工夫してつばめは通過できるけどカラスが入れないようにビニールテープでバリケードを作りました。ちょっと異様なので不思議に思われるかもしれませんが、つばめの子育てが終わるまで見守りたいのでよろしくお願いします不妊治療が保険適用になって約一年が過ぎました。男性不妊の場合でも女性が40才までは子供一人につき体外受精は6回まで、40~43才未満までは体外受精は3回まで。という条件付きですが、まったく保険の適用がなく助成金のみのときに比べれば身近に治療を受けられるので、不妊外来を受診する人が急激に増えることになりました。
治療を受ければすぐに結果が出ると期待して多くのかたが始めたのですが、実際治療を始めてみると期待通りに行かないことやホルモン投与や注射の回数などからだへの負担も大きくてつらい思いをしたり、治療の回数の制限で焦る気持ちや不安になるひとも多く、なるべく早く希望を叶えるためにはどうしたら良いのかというご相談が増えてきました。
私は日本不妊カウンセリング学会認定の不妊カウンセラーとして20年ほど研修を続けているのですが、不妊で悩むかたは年ごとに多くなっているのが現状です。
結婚すれば自然に妊娠、出産すると考えている方がまだまだ多いと思いますが、年令や体調で大きく左右されるという現実があります。
2000年ほど昔に書かれた「皇帝内経」という書物に、女性の身体は7の倍数、男性のからだは8の倍数で変化すると書かれていて、女性は35才、男性は40才を境に腎の衰えが目立ち、妊娠しにくくなると考えます。 この年齢の目安は、現代の西洋医学でもほぼ同じです。
中医学では、「腎」「肝」「脾(消化器)」の働きが妊娠と深く関わっていて、男性も女性も生命エネルギーの源の「精」の力、血液の「血」の力と元気の「気」の力が充実してスムーズに巡っている状態が“妊娠しやすい体”と考えています。
具体的には、腎を補うことでホルモンのバランスを良くします。肝は血液を貯蔵して栄養と気のめぐりに影響しますし、脾は食事から元気や血液を生み出していきます。
“妊娠しやすい体”をつくるためには、「腎」と「肝」と「脾」の働きを整え[精・血・気]を充実させることが基本になります。からだと心のバランスを調え、良好な体調を維持することで一日も早く希望を叶えてほしいです。今すぐに子供が欲しいというかたもいつかは産みたいというかたも、中医学でからだを整えて妊娠力アップを目指していきましょう。

金銀花 No.57:【夏の疲れ、秋は呼吸力の強化を】
長くて暑い夏でしたが残暑がないまま一気に秋になりそうです。コロナ感染も一定の感染力を維持したままで、メンタルにも影響するのではないかと気になります。
猛暑の夏の一日、箱根に出かけてポーラ美術館でシン・ジャパニーズ・ペインティング(12月3日まで)という企画展を鑑賞してきました。この日の一番のお気に入りは深堀隆介氏の「金魚」でした。生きているように泳いでいる金魚を網ですくいたくなって、何となく子供の頃を思い出すようななつかしい金魚たちに癒されてきました。
今年は高温が続いただけでなく、雨が降るところはゲリラ豪雨になり、降らない所は日照りと渇水に見舞われました。小さな日本列島なのに気象に振り回されて農作物への影響も出ていますし、海水温が高いと秋の代表サンマも鯖、鰺も穫れないので高級魚になってしまいます。穏やかな季節の変化を期待しますが、便利な生活を手放さずに環境保護もできるというのは難しいですね。
季節の変わり目は不調が出やすくなる時期。特に近年の秋は、気温の高い日が続いて湿度も高いので「湿邪」に弱い胃腸が弱ったまま元気不足になって秋バテになることが多いようです。
秋が進んで空気が乾燥してくると「肺」に影響がおよんで「カラ咳」が出やすくなりますし、イネ科の植物などの季節性の花粉症や皮膚炎に悩まされます。
中医学でいう肺は呼吸をするだけでなく、潤いをもたらす津液(しんえき)を体中にめぐらす役割も担っています。肺の気と陰を補うと、外気と接する皮膚や粘膜を潤すことになるので、乾燥や外邪から体表を守る働きを強化してくれます。
秋バテの回復と、肺の元気と潤いを補給して「呼吸力」を強化するのにおすすめの漢方処方が「麦味参」です。人参・麦門冬・五味子のシンプルな処方ですが、夏の疲れを癒し、乾燥する秋から冬に向けて肺を守り、ウイルスや細菌感染の予防にも役立ちます。
今年は酷暑の夏でしたので、冷たい飲食を摂り過ぎたり、冷房で体を冷やし過ぎて、秋のはじめにだるさや胃腸の不調を訴える人も多く見られます。こうした不調を感じた場合は、まず消化のよい温かいものを腹7~8分目で摂りながらおだやかに過ごすことを心がけていきましょう。
胃腸の働きを調えるには「健脾散」「晶三仙」がお役に立てると思います。「夏の不調は秋のはじめ」に、「秋の不調は冬のはじめ」に、というように季節を越えるタイミングで出ることが多いので、生活養生や漢方の知識を活かして気持ちのよい秋の季節をのんびり健やかに過ごしていただければと思います。
