金銀花 No.21〜No.25
金銀花 No.21:マラリヤの特効薬
大村博士のノーベル賞受賞、文化勲章受章おめでとうございます。韮崎のみならず、山梨県全体が元気になるキッカケをいただいたように思います。約 40 年前、北里大学で微生物学の授業を受けた「一応」教え子です。愚生でしたが、偉大な先生にご指導いただいたことに感慨深い気持ちです。これまでも世界中の著名な賞を受賞されていらっしゃいますが今後も人類のため活躍されることでしょう。先生のご研究がますます発展されますように。
ノーベル賞ですが、生理学医学賞はもう一人、中国の屠呦呦(ユウユウ)氏が受賞しました。この方は薬学者で、マラリヤに効く薬を生薬の中から見つけたのです。1600 年前、晋の時代に書かれた「肘後備急方」という古典の中から寒気が強烈で高熱が続く瘧(おこり)に効く「寒熱諸瘧方」という処方を 30年前に見つけたのです。 マラリヤは大村博士が貢献したオンコセルカ症と同じく蚊が媒介して原虫によって病気になります。今まで、キニーネという劇薬が使われていましたが副作用も強く原虫に対する耐性も出ていました。
「青蒿せいこう」という生薬はヨーロッパではなんとクソニンジンという名前でよばれ、悪臭がする草なのです。
私は生の草の臭いを嗅いだことがないので、何とも表現できませんが、この草に含まれるアルテミシニンというマラリヤ原虫に効く主成分を、30 年前に見つけたのが屠氏だったのです。「青蒿」を一掴み、2 升の水に漬け、汁を絞ってのむという単純な方法でマラリヤが退治できるのです。
大村博士が発見されたイベルメクチンもマラリヤに効果があるということを、ご自身から伺ったことがあります。「青蒿」の漬液でイベルメクチンをのんだら、一度の服薬でマラリヤが治りそうに思いませんか?今も熱帯の開発途上の国々ではたくさんの方が感染症で亡くなっています。 化学物質でなく微生物や生薬の力で貢献できることは素晴らしいことだと思います。 インフルエンザも感染してから抗ウイルス薬で治療するより、生薬の板藍根で予防しましょう。子供にも妊婦さんにも安心してのんで頂けますし、味も悪くありません。試飲できますので是非おためしください。
金銀花 No.22:更年期を乗り越えましょう
あたたかい新年を迎えましたが、1 月の半ば過ぎから厳しい冷え込みになりました。暖冬の寒波は大雪の誘因になるようですので、この先の気象情報が気になります。ここ 2 週間ほど研修会や会議があり泊りがけで出張することが続きました。当然外食も多くなります。自分ではそれほど高カロリーの物を食べたという気がしないのですが、気がつくとおでこにぽちっと吹き出物が出ているではありませんか。滅多に何かが出ることが無いので私も人並みにストレスと食事に影響されることがわかりました。みなさまも生活習慣の乱れにご注意ください。
更年期症状とは、年齢とともに性ホルモンが減少することで起きる不快な症状のことです。ちょっとしたことで緊張スイッチがオンになると一瞬身体がファーっと熱くなっておでこや首筋に汗が出ます。寝つきが悪くなって夜中まで眠れない。早く寝ると 3時頃に目が覚めてしまう。 血圧が不安定になったり寝汗が出たり急に白髪が増えたり耳鳴りや老眼や体重増加や・・・・。「病気ではない」が「病気のような」状態は大きなストレスになります。
個人差が大きく寝込むほどひどい人もいれば、気づかないうちに過ぎてしまう人もいます。社会が成熟するほど生活が複雑になりますのでお悩みの方も多くなり、30代からプチ更年期で体調不良を訴えるかたも増えました。女性ばかりではなく男性も原因のわからない体調不良に悩む方が多くなりました。
中国、清の時代に西太合という有名な恐い女帝がいました。権力の頂点に立った彼女は決して幸せではなく、常に暗殺や謀略への不安と恐怖に怯えていたのです。西太合が服用していた漢方は現在も資料として残っていますが、いま形を変えてこのストレス社会に応用される製品になっています。
年令や体質、環境や症状などによりおすすめの漢方薬も違います。お気軽にご相談下さい。 更年期障害なんてサッサと乗り越えて身も心も軽やかに生活していきましょう。
金銀花 No.23:妊娠はご夫婦の健康から
暦で言う二十四節気の二番目、雨水も過ぎてこれからは春に向かってどんどん気温も上がる時期になります。アレルギーのある方はつらい季節ですが、体力をつけて乗り越えましょう。昨年、当薬局で妊娠された方は約 30 名いらっしゃいました。ご出産数は 11 名。現在妊娠中の方は 12 名です。新年を迎えてご誕生された赤ちゃんは 2 人です。今年もどんどん赤ちゃんが産まれるように頑張 っていきます。
赤ちゃんのご相談に見えるきっかけの多くは女性の体調不良ですが、病院で検査を受けてみると男性の原因も多くみられます。精子を造ることができない無精子症のかたより、精子の状態に異常がある場合が多いようです。機能は正常で精子数や濃度は充分でも、奇形率や運動率などに問題があると妊娠に影響してきます。
原因で多いのは仕事や睡眠不足のストレスと思われますが、生活習慣の改善で良くなることも多々あります。いま、妊娠適齢期の年代は昭和の終わりから平成時代に入って産まれた方がたですが食や生活習慣はこの 50年間ですっかり変わりましたのでその影響も少なからずあるのでしょう。
深夜の食事。スナック菓子や洋菓子、チョコレートなどのお菓子やアイスクリーム。辛い物や大蒜などの刺激物。ピッタリした下着。サウナ浴。スマホやパソコンの電磁波などいろいろな「良くない」ことがあります。すべて止めるのは難しいことですから、なるべく少なくするようになさ ってみませんか。
生活習慣を見直し、からだに合った漢方薬を服用することで検査結果が改善することが多いのです。体外受精をくり返している間に少しずつご主人の検査が改善して自然妊娠されることもあります。いま高校生の4割超が、高血圧や高中性脂肪、高血糖など何らかの基準値を超え、生活習慣病予備軍になっている現状があります。(厚生労働省研究班、班長、吉永正夫・国立病院機構鹿児島医療センター小児科部長の調査)30代以降に重い生活習慣病になる可能性さえありますので、いま育児中のお母さまがたにも将来のために食や生活習慣への関心を深めていただきたいと思います。
金銀花 No.24:季節の養生 春
桜も咲きはじめ気温の上昇とともに春も急ぎ足でやってきました。寒い季節が過ぎ明るく温かい「陽気」が身体をめぐり元気になるはずですが、最近は春といえばアレルギーの代名詞になってしまい、喘息や皮膚炎の悪化に悩む方も多く、あまり歓迎できない季節になり残念です。花粉症も結膜炎、鼻炎、皮膚炎などすべて出る方もいますが、その方の体質や生活環境で症状が違います。粘膜や消化器を強化することで外界の環境変化に影響されにくい身体を作りましょう。
春は自然界では「木」、身体では「肝」が影響を受ける季節で、ストレスや環境の影響で精神面において傷つきやすくなります。新学期、新年度、新入社、転勤など4月に転機を迎える方も多いですが、新しい環境や人間関係などに悩むと、ウツ症状が出やすく、食欲の低下や消化不良を招くこともありますので几帳面に考え過ぎないようにしましょう。「女子傷春、男子悲秋」という教えがあり、女性は春に憂鬱になりやすいと言われています。
明代の名医である薛已(せつき)は、朝に「逍遥丸」夜に「心脾顆粒」で、春を元気よく過ごすことができると書物に記しています。
イライラや怒りっぽい症状には「逍遥丸」で対応を。食欲不振や胃腸膨満感などには「晶三仙」。ガスが溜まり痛みがある場合には「開気丸」が良く効きます。睡眠障害には「酸棗仁湯」「心脾顆粒」「天王補心丹」のほかに真珠や琥珀などで対応します。
西洋医学では夜の11時から朝の3時までをゴールデンタイムといい、成長ホルモンが身体の傷を治す時間ですが、中医学でも肝臓が排毒するための重要な時間帯と考え、肝臓内の血液の毒を排泄するといわれますので、就寝時間は夜11 時を過ぎないように努力しましょう。
足の甲側で、親指と人差指の交差する付近のくぼんだところに「太衝穴(たいしょうけつ)」というツボがあります。入浴時などリラックスタイムに親指の指先でこのツボをゆっくり垂直に押して一日の疲れを取りましょう。春は冬の養生の影響を受けます。夏を元気に迎えるために春の養生をしっかりいたしましょう。悩み多い世の中ですが、おおらかに構えてほんのり前向きな気持ちであれば、そう信じたように世界は見えてくる。と信じたいですね。
暖かくなり心身の活動が盛んになると、それに伴って感情の起伏も大きくなります。春は生活環境の変化も多く、ちょっとしたストレスで精神が不安定になります。春と深い関わりのある「肝(かん)」の養生をポイントに、気と血の調和によって働きが保たれています。ストレスを上手に発散し、食や生活の養生で、「肝」を健やかに保つよう心掛けましょう。
~肝を養って、ストレス防止~
イライラ、情緒不安定、疲れなどには双料杞菊顆粒、睡眠途中で目が覚める、考え事が多く眠れない方には、琥珀成分のミンハオがおススメ!!
春は、(生)の時季、この時季は体も心もノビノビさせ、 色々なものに目を向けチャレンジしましょう!
金銀花 No.25:健康診断結果から
今年も「夏日」が出る季節になり、日中も暑く感じるようになりました。先日、入浴中にふと天井を見上げると、なんと、黒カビが!!寒い間はおとなしくしているカビ菌も時期が来るのをじっと待っていたのですね。こんなところにも小さな微生物の底力を感じましたが、早速退治しました。これからカビの季節になりますので、食品にも気をつけましょう。
新年度になると健康診断を受ける方が多くなります。そろそろ結果が戻ってきて、ほっとしたり 心配されたりしていらっしゃるのではないでしょうか。
最近は痛風の原因になる尿酸値が高いかたが多いようです。「痛風」はある日突然に関節が腫れて痛みに襲われる病気です。痛風の原因物質は尿酸ですが、尿酸はとくに足の関節に溜まりやすいという性質があるので、最初の痛風発作の7割は足の親指第 1関節に症状が出ます。
尿酸はプリン体が肝臓で分解されたものですが、プリン体は人間の細胞に必ずある物質で、なければ困る成分です。しかし、体内でプリン体が増え過ぎると、尿酸の腎臓からの排泄が追い付かずにどんどん溜まってしまいます。高尿酸血症が続くと腎臓の中に尿酸の結晶がたまる「痛風腎」になり、腎機能が低下します。
進行すると透析治療が必要になるので注意が必要です。他にも尿酸の結晶が尿路につまり激痛を引き起こす「尿路結石」などがあります。プリン体が多い食品は、あんこうの肝、レバー、ホルモン、カツオ、イワシ、海老、魚の干物などです。ビールにはプリン体が多く含まれるので、もつ焼きにビールは痛風にとって最悪の組み合わせです。
和食なら良いだろうと思いがちですが、カツオ出汁や煮干し出汁も痛風に良くありません。 そして、肥満の場合は内臓脂肪がインスリンの分泌を増やし、増えすぎたインスリンは尿酸の排泄を妨げるので、ダイエットをして内臓脂肪を減らすことを心がけましょう。30歳以上の男性で肥満、外食やコンビニ食が多く、不規則な生活、ビール好きでストレスが多いひとは要注意です。お気をつけください。
溜まった尿酸を排泄するには血流を良くしなければなりません。冠元顆粒は痛風にも応用できますが、痛風の発作時は炎症を起こしているので田七人参がおすすめです。
尿酸値を下げる薬も有効ですが、まずは、生活習慣を改め、食生活を考えましょう。